マブチのDCモータの特性を調べる
こんにちは、もれなみです。
前回の記事の通り、モータ制御の勉強本を買ったので、早速遊んでいきたいと思います。
※この記事では実験の全体の流れと、学習キットで実験する上で躓いたポイントや工夫したところをまとめています。技術的なコンテンツは本誌を確認いただければ幸いです。
高トルク&高速応答! センサレス・モータ制御技術 (パワー・エレクトロニクス・シリーズ)
ちなみに今回の実験ダイジェストはこちら↓。
DCモータの特性を(再)計測してるんだけど抵抗値がぜんぜん合わない。まずはAmazonのやっすい電流センサから当たってみるか pic.twitter.com/C5HmphTzsm
— もれなみ⚡️⚙ (@kawazuguchi) 2022年5月28日
今回の実験ゴール
今回のゴールはDCモータ特性の実測です。より具体的には、
- 巻線抵抗
- 巻線インダクタンス
- 電気時定数
- 発電定数(回転数と端子電圧の関係性)
- イナーシャ(慣性モーメント)
のうちのイナーシャを除くパラメータを実測します。 これらの実測パラメータを用いることでDCモータの機械的な運動方程式と電気的な回路方程式を結びつけることができるようになるようです。 もっと詳しい話は勉強本はもちろん、こうへいさんという方のサイトやMathworksのチュートリアルに解説が載っていますので、ご参照ください。
実験キットから買い足し
今回の実験回路は以下の通りです。勉強本の第2章の実験で、実験としては1つ目なのですが、早くもキットから買い足しが必要なようです。
買い足すパーツは以下の通りです。記事の最後に購入例のリンクを載せておきます
- モータB(RE-140RA)
- Φ2-Φ2のカップリング
- 電流センサ(※)
- 単三電池×1個
- 電池ボックス
- オシロスコープ(今回はAnalog Discovery 2)
- 配線材料(ブレッドボードや端子台)
※勉強本では、電流センサにLEM社のLTS6-NPを用いた自作基板が紹介されていましたが、当該部品は生産中止で代替品も1個4,000円と個人には割高だったので代替品を使用しました。
今回はAllegro社のACS712というチップの±5AのモジュールをAmazonから購入し実験していましたが、どうもこれが模造品?だったようでちょっと問題が発生しました。(当該品は'22-6/11時点でリンク切れ)
オシロスコープは、2ch、20ksps以上、入力電圧15V以上のものあれば多分OKです。1msあたり20点くらい計測できればほしいデータは得られると思います。
実験条件
で、組んだ回路がこちら↓。
今回の実験では下表のとおり全部で3つの条件で計測を行います。①は実験系の出力確認なので必須ではないです。また、オシロスコープが3ch以上あれば①と②は同時に計測できます。
条件 | 状態 | ch1 | ch2 | 取得パラメータ |
---|---|---|---|---|
① | 電圧印加 | モータA電流 | モータA電圧 | - |
② | 電圧印加 | モータA電流 | モータB電圧(端子オープン) | 発電定数 |
③ | 軸を拘束して電圧印加 | モータA電流 | モータA電圧 | 巻線抵抗、インダクタンス |
電流センサがおかしい…
で、計測を始めたものの、どうも勉強本と結果が合いません。
計測値から計算すると0.44Ω…マブチのスペックではストール条件で1.5V/2.10A=0.71Ω。教材も0.71Ω。https://t.co/yXWo5WbT6C
— もれなみ⚡️⚙ (@kawazuguchi) 2022年5月28日
電流センサのデータシート上では、±5Aのモデルは0AがVcc/2、そこから変換係数185mV/Aで電圧出力するはずなのですが、上の波形(ストール条件)でこの通り計算すると、
となります。
さすがにモータの巻線抵抗が40%近く外れるのは考えにくいので、安定化電源で調べたところ先ほど述べた電流センサの変換係数がデータシートと違うようでした。
(そもそもチップに印字されている型番の末尾の"-05A"が公式のデータシートの"-05B"と違っているのでちょっと怪しいなぁと思っていましたが…)
とりあえず安定化電源(中華)で電流センサの直線性をみた。直線性はあったけど係数がデータシートの0.185 V/Aに対して、0.339と結構違う。https://t.co/lYx6M4fmgq pic.twitter.com/6fosvsbyh3
— もれなみ⚡️⚙ (@kawazuguchi) 2022年5月29日
こちらの作業は安定化電源を引っ張り出して0.2Aピッチで電流制限をかけながらちまちま計測しました。
再測定
気を取り直して再測定しました。結果は以下の通り。ちょっと抵抗値が大きいですが、まぁこんなもんでしょう。ブラシの切り替わりで回転数を推定するのがミソです。
- 巻線抵抗:0.85 Ω
- 巻線インダクタンス:0.26 mH
- 電気時定数:0.31ms
- 発電定数:0.000154 V/rpm
この係数使うと0.85Ω、データシートの0.71Ωに対して20%誤差あるけどホビーユースだしこんなものかな。インダクタンスは0.26mH(こっちは教材と一致)。 pic.twitter.com/aTOFl0osyg
— もれなみ⚡️⚙ (@kawazuguchi) 2022年5月29日
買い足したもの
今回の実験では学習キットから追加で以下のものを用意しました。参考例として載せておきます。
Φ2-Φ2のカップリング
電流センサ
→今回のものの類似品です。正規のモジュール化は不明ですので、↓の秋月のを購入した方がいいかもしれません。
電池ボックス
akizukidenshi.comAnalog Discovery 2